「スキルを示しても無駄」な時代? 中年転職者の悲哀
先日、昼下がりのとある喫茶店でのこと。前回、コロッケを食べていた編集長の吉岡綾乃さんは、今度はマンゴークリームワッフルにナイフを入れながら、私の連載についてこうコメントしました。
「サカタさん、連載のタイトルを忘れてしまっていませんか? 『就活・転職のフシギ発見!』です。誠の読者は学生よりも、社会人のほうが多いんです。就活だけじゃなくて、転職のことも書いてくれなくちゃ困ります」
「確かにその通り。ただ、就活周辺には問題が山積みしていて、それを解決するための問題提示がしたいと私は思い……」と言いかけた言葉をグッと飲み込みながら、私の頭に思い浮かんだのは中年転職者の悲哀でした。
「やりたいことばかりをいっていてもダメ」――彼らの悲しい現実、あなたは最後まで目を背けずに読むことができますか?
●就活生は「やりたいこと」を問われるけれど
学生は就活が始まると、それこそしつこいくらいに「あなたのやりたいことは何ですか?」と面接官に質問されます。もう、ずっと聞かれっぱなしです。
本来は「やりたいこと=やりたい仕事」ではないはずですが、そんなのお構いなし。ひたすら「やりたいこと」を考えさせられ、なんとかひねり出し、自分の経験から適当につじつまを合わせて自分についてアピールをし、やっとのことで社会に出るのです。
社会に出れば、今度は「自分で考えて行動しなきゃダメ」とか「キャリアについて先まで見据えなければ」とか「スキルアップは必須ですよ」などと追い立てられて、自分がやりたいことと、仕事とを混同しながら、ある一定の年齢に達することになります。さて、問題はその先です。
出世していて、社内で確固たる地位を築いている。なくてはならない存在であり、自分の代わりになる人はいない――そういう人なら問題はありません。ですが、そんな盤石な状態ではなく「給料の高い自分は、経営が危なくなったら真っ先にクビを切られる存在だな」と自覚している人も、正直、少なくないと思います。早期退職をやんわりと勧められる、同期が配置転換をされた……そんなことに気がついたりすると、いても立ってもいられなくなり、そして転職を視野に入れ、キャリアの棚卸しなるものを始めたりするのです。
●「仕事は部長」なんていう人は、もういない
こういう話を書くと、必ず出てくるのが「『あなたは何ができますか?』と質問すると、『部長をしていました!』と答える人がいるので困る」というエピソードです。…
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